皆さんは、遺言と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか。
遺言なんて、そんな不吉なこと考えたくもないし、そもそもうちは、そんなに財産がないので、相続で揉めるはずはない。
ほとんどの方がそのように考えているのではないでしょうか。
でも、それは残念ながら、事実とは全く違います。
近年の遺産分割で揉めて訴訟となった件数としては、全体の75%に当たるものが、遺産額が5,000万円以下となっています。そのうち、1,000万円以下は、32%も占めるのです。
財産が少ないと揉めないという訳ではないのです。その逆で、むしろ少ない方が揉めやすいのです。それは、財産が多いと、現金などの金融資産が多く、柔軟に分割することが可能ですし、そういう方々はきちんと前もって対策をしている方も多いからです。
ですから、財産が少ないから、何もしなくても大丈夫ということにはならないのです。
今まで仲の良かった家族同士が、相続で揉めてしまって、もう二度とお互いの顔も見たくない、という状態になってしまうのは、とても悲しいことです。
そうならない為にも、本人が元気なうちに、どうすれば良いのかを一度、専門家に相談し、遺言を書いた方がいいのかどうかも含めてを考えてみるのもいいのではないでしょうか。
・相続人以外の誰かに、または特定の誰かに、遺産を残したい。
例えば、結婚していない内縁の妻に遺産を残したい場合や、自分の面倒を一生懸命にしてくれた長女に特別に多めに遺産を分けたい場合など。
・相続人がいないもしくは子供がいない。
相続人がいない場合、遺産は国庫に帰属することになりますので、お世話になった方に遺贈したい場合や、何かの団体などに寄付したい場合には、遺言書が必要となります。
また、結婚されていてもご夫婦のみでお子さんがいらっしゃらない場合は、ご自分に何かあった場合には、配偶者である妻もしくは夫のみが相続人になるだけではなく、同時に親兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあり、揉めてしまうこともあります。
・相続人の中に高齢者がいる場合。
例えば、高齢の相続人の中に認知症の方がいた場合、遺産分割協議をするためには、その方の後見人を選任する必要があります。そして、後見人を選任するためには多くの時間がかかり、相続手続きはスムーズに進まなくなります。
・障害を持ったお子さまがいらっしゃる場合。
自分にもしものことがあったら、障害のある子どもはどうなるのだろうか、と不安に思っている方は多いのではないでしょうか。なかなか完全な解決策というのは正直、難しいとは考えますが、それでも事前にそのための対応策を考えておくことは大切です。
障害のある子の将来の面倒を見る方へは、多めに遺産を分けるなどのことも必要ですし、身体障害であれば、本人に多めに財産を残すこともできます。
・犬や猫などのペットを飼われていて、自分にもしものことがあった場合に、そのペットの行く末が心配な場合。
ペット自身に遺産を遺すことはできません。その代わりに、ペットの世話をしてくれる方へ、遺産を贈与することもできます。
・ご自分が外国人であるために、自分にもしものことがあった時に相続のことが心配な場合。
例えば、韓国の法律によれば、遺言書で「相続は日本の法律による」とした場合にはそれが優先されます。
などなどこの他にも、遺言を書いた方がいいケースは色々とありますので、何かご心配なことがございましたら、まずは、ご相談ください。
まずは、お気軽にお問い合わせください。